「黒猫樹海」〜ヨーカイノートより

迷いこんだ樹海に沈む霧の中
行くべき道もなく、指し示す標もなく
生きる力を失った者たちの髑髏の上で
カラスが見つめている
夢を追い求めていく道に、迷い彷徨う夢への道に
隠れていた落とし穴
報われぬ運命の魂だったのか
不安と恐怖そして嘆き頼るは己のみ
己の体力と知力と勇気と五感の全て
脱出するには―――
不用意に迷い込んだ強い意志と危険に対する
鈍感さとは反対の何倍もの能力を必要とするだろう
夢を掴む為の真剣さが足りなかった
それだけの重さの夢だったのかも
道に迷う―――
真っ直ぐに慎重に目の中にしっかりと夢は捉えられていたのか
望む夢より目先の何者かに一瞬気を取られてはいなかったのか
その一瞬が樹海への入り口だったのだ
過ちから学べぬ者は樹海の中で朽ち果てるか再び同じ繰り返しをするだろう
さらに困難な状況で夢に向かって前に進む力と同時に必要なものは
周りと後ろを確認する配慮を有する思慮深さだ
己への過信と周りに対する傲慢さが黒猫にも見て取れる
トラップは至る所にある
気がつけばよし気がついていながら引っ掛かるものなどいはしない
問題はそのトラップに気づかない精神の側にある
トラップの所為でなど断じてありはしない
大事な経験をゴミ箱の中に捨ててしまったのだろう
失敗こそが精神の成長の糧なのだ、失敗こそがチャンスかもしれない
自分が正しいと思うのは誰でもそうだ――― 心の座標軸は一人に一つずつある
それを言うならば自分も正しい、人も正しいと言わねばなるまい
失敗した者が自分を正当化する為には
他者や、何者や、何事、あるいは時………なんでもよい
自分以外の物の所為にすればよいのだ
自分は被害を受けたものだと繰り返し言い続ける必要が生じる
構図、仕掛け、自己のための精神的トリックに収まってしまう
自分の作り出したトリックに自分を納得させる為
そして失敗したことを周囲に言い訳する為にもこれは何度も繰り返される。
樹海の中の堂々めぐりだ
黒猫(我々)は樹海から脱出できるのだろうか、
それとも月夜の夜に空の黒と溶け込んだカラスに見守られて死ぬのだろうか
その時己の愚かさに気付くだろうか、
それとも己の不遇な境遇を嘆くばかりで疲れ果て死ぬのだろうか
シナリオには「白の樹海」としかない、黒猫はどうなる?どうしよう
どうしましょうか皆さん
私は脱出させたい
話をもっと深みに持っていくためにも………

樹海に迷えぬほど大きな志があれば迷う心は妄想かもしれない